アイヌにおける木彫りの文化について

アイヌは自分たちの作った道具、作ったものの1つ1つにも魂が宿っていると信じ、生きもののように扱いました。特に自然の恵みを利用してきた彼らは、木を材料に用いて、暮らしに必要な民具を自らの手で作っていました。こうした木製品の多くは、作り手が思い思いに組み合わせた美しいアイヌ文様が彫刻されており、文様を見れば誰が彫ったものかがわかると言われているほど、作り手の個性が表れています。

昔のアイヌの物語では、「木彫りのうまい男、針仕事のうまい女」が一目置かれる人として登場しますが、アイヌの文化では、基本的に木彫りは男性の仕事、刺繍は女性の仕事として受け継がれてきました。アイヌ語には「テケトク」=「手先が器用な者」という言葉があります。手先が器用で良い道具を作れるということは、狩猟でたくさんの獲物を得て良い暮らしができるため、器用であることはとても重要なことでした。特に「マキリ」と呼ばれる木彫りが施された小刀は、狩猟、採集、調理、生活道具の制作など、アイヌの暮らしに欠かせない大切な道具でした。マキリの仕上がりで彫り師の腕が問われるとも言われており、かつては男性が好意を寄せる女性に、求愛の意味を込めて自分の作ったマキリを贈る風習もありました。

明治時代以降になると、そうした木彫りの技術を活かして、自分たちが使うもの以外に土産物も製作するようになりました。初期にはアイヌが日用品としていた器や箸、道具の模型などが製作されましたが、明治時代の終わりに頃には、人形や木彫り熊が作られるようになりました。
このように木彫りの文化はアイヌ暮らしと密接に関わり、時代とともに形を変えながら、現代までアイヌ工芸として脈々と受け継がれています。

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